ChatGPT マイGPT×プロジェクト×メモリの使い方【独自検証つき】

ChatGPTのプロジェクトメモリ、チャット参照の範囲。 AIトレンド
プロジェクトのメモリとチャット参照の範囲(公式ドキュメント)。

ChatGPT をチャットベースで利用する際、マイGPT(MyGPTs)・プロジェクト・メモリの3つの機能が重要な役割を果たします。これらを活用することで、ChatGPT を自分専属のコンサルタントに近づけ、幅広いニーズに合わせた使い方が可能になります。

マイGPT(MyGPTs)とは?〜自分専属のコンサルタント

基本機能

マイGPTには大きく分けて3つの特徴があります。手入力による設定は至ってシンプル。設定自体をChatGPTに依頼することもでき、方向性を入力するだけで必要に応じた質問を返しながら調整してくれます。

指示(人格・役割の設定)

テキストでGPTに期待する役割を書きます。

例: 「あなたは英語と日本語を母国語とする英会話教室のベテラン英語教師です。TOEIC500点の日本人を想定し…」

知識(ファイルのアップロード)

ユーザー独自の情報をファイルとして与えることができます。例えば、統計データ、方針やガイドラインをまとめたテキスト、自分の文章やイラストのサンプルデータなどです。

アップロードされたデータは必要に応じて参照されます。チャットでの質問などでファイルを参照する確度、頻度を上げたい場合、指示でそのように書くなどの工夫が必要です。

対応するファイル形式は公式ドキュメント (Supported files) を参照してください。

  • PDF
  • Word (.doc, .docx)
  • Excel (.xls, .xlsx)
  • PowerPoint (.ppt, .pptx)
  • テキスト (.txt, .csv)
  • コード等(.c, .json, .html など)

@による呼び出し

チャットで最初に“@”とマイGPTの名前を入力することで、作成済みのマイGPTを呼び出せます。

マイGPTの使い方(活用例)

  • 語学学習:自分の国籍、学習言語、レベル、使用言語を指定。
  • 論文要約:要約の長さ、新規性、根拠の信頼性などを指定。
  • 校閲:自分の文章、契約書等をレビュー、間違いなどの確認。

設定方法

  1. ChatGPTを開き、左サイドバーの「GPT」をクリック。
  2. 右上の「+作成する」で新規作成。
  3. 左側が設定画面、右側で試験的に会話が可能。
左サイドバーの「GPT」をクリックし、右上の「+作成する」でマイGPTを作成。

「作成する」を選べばChatGPTに設定を任せることもできますが、「構成」タブで以下を設定することも可能です:

  • 名前:わかりやすく簡潔に。
  • 説明:多数作る場合のメモや公開時の説明文。
  • 指示:性格・専門性・ルールを設定。
  • 会話のきっかけ:最初に投げかける文を設定。「最新の◯◯を教えて」などとしてテンプレ化が可能。
  • 知識:前述のファイルをアップロード。
  • 推奨モデル:特定モデルを指定可能。指定しない場合は通常のチャットモデルを利用。
  • 機能:ウェブ検索、Canvas、画像生成などを有効化。初期状態はユーザー環境によって異なる場合があります。
左側のタブ「作成する」で「ブログ作成のアドバイザーが欲しいです…」「はい」「okです。」とすることで、「構成」の設定が作成された。

プロジェクトとは?〜自分専用の作業環境

基本機能

プロジェクトは複数のチャットやファイルをまとめる作業環境です。用途ごとに整理することで、一貫した作業がしやすくなります。

  • フォルダ機能:「旅行計画」「仕事」「語学」などテーマごとにプロジェクトとして分けられる。
  • 指示の追加:プロジェクト内のチャットでは、ここで設定した指示が優先されます(公式ドキュメント)。
  • 知識の追加:アップロードしたファイルをプロジェクト全体で利用可能。
  • 専用メモリ:プロジェクト単位で記憶を保持。設定で「プロジェクトのみ」とすることで、プロジェクト内に閉じた記憶となり、外部とは共有されません(公式ドキュメント)。

メモリとチャット参照の利用とその範囲

メモリを利用するためには、サブスクリプションの場合、ChatGPTの設定>パーソナライズで「保存されたメモリを参照する」と「チャット履歴を参照する」をオンにする必要があります。

プロジェクトが参照、保存できるメモリの範囲は、プロジェクト作成時の設定で変わります。「デフォルト」を選んだ場合、ChatGPT全体のメモリに相互にアクセスできるようになります。一方で、「プロジェクトのみ」を選ぶと、メモリの参照、保存はプロジェクト内部で閉じることになります。いずれの場合も、プロジェクト内のチャットは相互に参照でき、外部と内部の参照はできません。

プロジェクト内部のメモリに保存された内容は、ユーザーが見ることはできません。

プロジェクトのメモリとチャット参照の範囲(公式ドキュメント)。

プロジェクトの使い方(活用例)

  • 「夏の旅行計画」と「冬の旅行計画」を別チャットに分けつつ、同じプロジェクトで管理。
  • 語学学習プロジェクトで、文法、会話、リーディングにチャットを分け、全体の進捗はメモリで共有。
  • 記事作成プロジェクトで、記事ごとにチャットを分け、校正・HTML変換を行う。あるいは役割ごとにチャットを分ける。

マイGPT × プロジェクトの併用 (2025.09.16現在)

マイGPTとプロジェクトは別機能ですが、同時に利用することも可能です。執筆時点の仕様では、新規チャット開始時に“@”でマイGPTを呼び出すと、チャットがプロジェクト外に作成されてしまいます。ただし、プロジェク ト内で会話を始め、途中からマイGPTを呼び出すことは可能です。

  • マイGPT:特定の人格・専門家を設定し、任意のタイミングで呼び出し可能。
  • プロジェクト:共通の指示・知識をもとに進める閉じた作業環境。

メモリ、知識の活用と適用範囲

公式情報では、マイGPTとプロジェクトのメモリや知識の適用範囲を明確に確認できなかったため、簡単な実験を行いました。結論としては、プロジェクト内でマイGPTを使用した場合、以下の通りとなります。

  • マイGPTで設定した「知識」と「指示 」の両方が適用される
  • プロジェクトの「知識」にも技術的にはアクセス可能
  • プロジェクトメモリに内容は保存される

メモリと知識の範囲(検証)

実験条件:

  • プロジェクト:
    • 名前:お天気情報まとめ
    • 指示:「だ」「である」と硬い表現で答えてください
    • 知識:weather_project.txt
  • マイGPT:
    • 名前:お天気情報
    • 指示:小さい子供に話しかけるように、優しく答えてください
    • 知識:weather_GPT.txt

結果:

プロジェクト内でマイGPTを使った時の、知識とメモリの適応範囲。

まず、プロジェクト内でマイGPTを使用し、マイGPTの知識について聞くと、自然にマイGPTの知識を参照しました(図左)。次に、プロジェクトの知識について聞くと(図中央上)参照されませんでしたが、明示的にプロジェクトの知識(ファイル)の内容を聞くと(図中央下)アクセスできました。最後に、プロジェクト内の他のチャットで会話した内容について聞くと、マイGPTを使用した場合、使用してない場合、両方の内容とも記憶していました。

まとめ

  • マイGPT(MyGPTs)は役割や知識を持たせた「専属の専門家」。
  • プロジェクトはファイル・チャット・指示・メモリをまとめる「作業環境」。
  • 両者を併用することで柔軟かつ効率的に活用可能。
  • ただし挙動は今後変更される可能性があるため、常に最新の公式情報をご確認ください。

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